チェビシェフの不等式
マルコフの不等式
チェビシェフの不等式の前に、まず、マルコフの不等式を説明します。
\(X\) を非負の値を取る確率変数とする。このとき、任意の \(a\gt0\) に対して
が成り立つ。
証明
\(X\) は連続型確率変数とし、その確率密度関数を \(f(x)\) とする。
したがって
\(a\gt0\) であるから
が成り立つ。
例えば、ある非負の確率変数 \(X\) に対して、\(P(X\ge20)\) が知りたいとします。
しかし、\(X\) が従う確率分布がわかりません。
一方で、期待値 が \(E[X]=5\) とわかっていれば、マルコフの不等式より
のように、\(X\) が \(20\) 以上の値を取る確率は \(25\%\) 以下であると評価できます。
このように、マルコフの不等式は、分布はわからないが期待値がわかっているとき、確率をざっくり上から見積もることができます。
チェビシェフの不等式
\(X\) を \(\mu=E[X]\) と \(\sigma^2=V[X]\) がいずれも有限な確率変数とする。このとき、任意の \(k\gt0\) に対して
が成り立つ。
また、\(\varepsilon=k\sigma\) とおいたもの
の形もよく用いられます。