確率の定義

確率空間

確率論の理論的な土台を与える数学的な枠組みを確率空間といいます。 確率空間は「標本空間 \(\Omega\)」、「事象の集合族 \(\mathcal{F}\)」、「確率測度 \(P\)」の3要素で構成され

\[ (\Omega,\mathcal{F},P) \]

と書かれます。

標本空間

ある試行で起こり得るすべての結果の集合を標本空間といいます。通常、標本空間は \(\Omega\) と書かれます。

事象

標本空間 \(\Omega\) の部分集合を事象といいます。サイコロを1回振る場合、つまり \(\Omega=\{1,2,3,4,5,6\}\) の場合で考えてみます。

事象 \(C\) のように、これ以上分割できない事象を根元事象といいます。

事象の集まりのことを事象の集合族といいます。事象 \(A_1,A_2,\cdots\) に対して、その集合族 \(\mathcal{F}\) は

\[ \mathcal{F}=\{A_1,A_2,\cdots\} \]

となります。

確率測度

事象に対して確率を割り当てる関数を確率測度といいます。\(P\) で表され

\[ P:\mathcal{F}\to[0,1] \]

のように、事象の集合族 \(\mathcal{F}\) から 0以上1以下の実数を返す関数です。 ただし、確率測度であるためには次の公理を満たす必要があります。

定理(確率測度の公理;コルモゴロフの公理)

確率測度 \(P\) は以下の条件を満たさなければならない。

  1. 任意の事象 \(A\in\mathcal{F}\) に対して、\(0\le P(A)\le 1\)
  2. 標本空間 \(\Omega\) に対して、\(P(\Omega)=1\)
  3. 互いに排反な事象 \(A_1,A_2,\cdots\) に対し、次式が成り立つ: \[ P\left(\bigcup_{i=1}^\infty A_i\right)=\sum_{i=1}^\infty P(A_i) \]

確率の性質

定理(確率の性質)
  1. \(P(\emptyset)=0\)
  2. \(P(A^c)=1-P(A)\)
  3. \(P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)\)
  4. \(A\subset B\Longrightarrow P(A)\le P(B)\)
証明