二項分布の正規近似

ド・モアブル-ラプラスの定理

ド・モアブル-ラプラスの定理とは、二項分布 \(B(n,p)\) は、\(n\) が十分大きいならば、正規分布 \(N(np,np(1-p))\) に近似できるという定理です。

定理(ド・モアブル-ラプラスの定理)

確率変数 \(X\sim B(n,p)\) に対して、\(n\to\infty\) のとき

\[ X\sim N(np,np(1-p)) \]

が成り立つ。

証明

\(X\sim B(n,p)\) であるとき、成功確率 \(p\) のベルヌーイ分布に従う確率変数 \(X_1,X_2,\cdots,X_n\) を用いて

\[ X=X_1+X_2+\cdots+X_n \]

と表せる。

例題

例題

あるチョコレートには \(20\%\) の確率で当たりが入っている。 ある人がこのチョコレートを \(100\) 個買ったとき、当たりが \(30\) 個以上出る確率を求めよ。

解答

当たりの個数を \(X\) とすると

\[ X\sim B(100,0.2) \]

である。

\[ E[X]=100\cdot0.2=20,\quad V[X]=100\cdot0.2(1-0.2)=16 \]

ド・モアブル-ラプラスの定理より、\(X\) は近似的に正規分布 \(N(20,16)\) に従う。

求める確率は連続補正をして

\[ \begin{align} P(X\ge30)&=P\left(Z\ge\frac{30-0.5-20}{\sqrt{16}}\right)\\ &=P(Z\ge2.375)\\ &=0.0087\quad(\because \text{標準正規分布表より}) \end{align} \]

演習問題

問題
解答